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慶應義塾大学医学部 百寿総合研究センター公式ページ

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東京85歳高齢者研究

長寿社会における高齢者の
暮らし方に関する学術調査
The Tokyo Oldest Old Survey on Total health (TOOTH)

※ 現在、参加リクルート、追跡調査ともに終了しております。

心身ともに健康に年をとることは、人類の目標でもあります。世界中の高齢者研究の専門家は、どうしたら元気で長生きできるかについて研究して参りました。この結果、元気に長生きするためには、遺伝子の多型性、健康状態(病気の有無など)、性格(明るく、気にしない、困難を乗り越える気力など)、環境などが大切であると考えられております。

私たちは1992年から百寿者(百歳以上の高齢者)調査を行い、遺伝子の多型性、性格、健康状態など様々な因子が健康長寿の達成に関わっていることを明らかにしてきました。百寿者の方々の健康の秘訣が一般のご高齢の方々にもあてはまるのか、検証する必要があります。さらに、百寿者調査ではわからなかった生活・運動習慣や社会活動への参加なども健康長寿に有利に働く可能性があります。

そこで、私たちは2007年から東京都心部にお住まいの85歳以上の方を対象に、暮らし方と健康に関する包括的学術調査を開始しました(TOOTH研究)。この研究の目的は、85歳以上高齢者のQOLに資する要因を身体的領域(医療,介護),心理的領域,社会関係,環境領域(経済,住環境)から明らかにすることです。特に超高齢期における自立度の低下、要介護状態に陥る原因として重要であるフレイル(虚弱)や認知症の発症を予防し、多くの人が生きがいを感じられる高齢期の達成に寄与する要因の同定を目指しています。

TOOTH研究では、85歳というご高齢になられても、適切は食習慣や、運動習慣を通じて、健康増進や身体機能の維持に積極的に取り組めるような科学的エビデンスの創出を目指しています。そのため、食習慣の調査では東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻疫学保健学講座社会予防疫学分野の佐々木敏先生、運動習慣の調査では慶應義塾大学スポーツ医学研究センターの小熊祐子先生と協力して研究を進めています。また、食事摂取に大きな影響を与えるお口の健康について日本大学歯学部歯科補綴学の飯沼利光先生の研究グループによって行われました。

研究の方法

1・参加者のリクルート

百TOOTH研究では2007年から2008年にかけて、新宿区、港区、渋谷区にお住まいの85歳以上の方の中から、3,320名の方を無作為に抽出し、調査協力のお手紙を郵送しました。ご同意いただけた方に、まず訪問面接法によるアンケート調査を実施し、さらに日を改めて医歯学調査を実施しました(図1)。最終的には542名の方に医歯学調査にご協力いただきました。

2・評価項目

高齢期の健康維持には、病気にならないことも大切ですが、日々の食習慣、運動習慣などの生活習慣や、性格や人生に対する考え方も重要な役割を果たします。さらに、百寿者調査からは長寿と遺伝子の関連も分かってきました。そこで、TOOTH研究では、アンケート調査と健康調査を実施し、日常生活活動度(ADLおよび手段的ADL)、認知機能、身体活動度、食習慣、心理的領域(主観的健康観、うつスケール、QOL、モラーレ指数)、社会関係、環境領域(主観的経済状況、IT機器の使用状況)、医歯学的評価(問診、理学所見、血圧・身体計測、体力測定、栄養調査、頸動脈エコー、骨密度、血液検査、歯科検診、唾液の成分分析)についての詳細なデータ収集を行いました(図2)。

3・追跡(フォローアップ)調査

基礎調査にご参加いただいた対象者の方々に、1年ごとに電話による健康状態の確認を行いました。基礎調査から3年後(2010-2011年)と6年後(2014-2015年)にフォローアップ調査を行いました。フォローアップ調査は初回の基礎調査と同様のアンケート調査と医歯学調査を行いました。また、全調査を通じて認知機能の結果がとても良かった一部の対象者の方には脳MRI検査も受けていただきました。

※ 調査方法の詳細につきましては、Arai Y, Iinuma T, Takayama M , Takayama M, Abe Y, Fukuda R, Ando J, Ohta K, Hanabusa H, Asakura K, Nishiwaki Y, Gondo Y, Akiyama H, Komiyama K, Gionhaku N, Hirose N. The Tokyo oldest old survey on total health (TOOTH): a longitudinal cohort study of multidimensional components of health and well-being. BMC Geriatr 2010; 10: 35. に記載しております(英文)。

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